IT成長企業は、
テレワークを平時と有事の両方で活用し、
IT停滞企業は、
テレワークを有事になると突然始める。

以前のブログでは、事前に取り組んでおけばよかったBCP対策の回答のトップは「テレワーク制度の整備」でした。という記事をご紹介しました。
そこで今回はBCP対策の事前の準備について、過去の経験から取り上げてみます。

目次
1.BCPとは
2.BCP対策のむつかしさ
3.恒常的なBCP対策事例
4.テレワークの事前の準備

1.BCPとは

「中小企業庁の中小企業BCP策定運用指針」では、BCPとは以下のとおりとなっています。

1.1 BCP(事業継続計画)とは

 BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

 緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は、経営基盤の脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます。

 緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです。

中小企業庁の中小企業BCP策定運用指針

2.BCP対策のむつかしさ

事業継続を目指したBCP対策は、非常時の対策になりますので、大きな災害が起こったあとはしばらくBCP対策を検討して体制を整えるという機運が高まります。
ところが平常時に戻って、平穏な状況が長く続くと今度は徐々にその意識が減ってくるようです。

このように平常時が長く続きBCPの意識が低下してきたときに、売上が厳しい、利益が確保しづらいなど別の厳しい状況が発生すると、つい準備していた体制を解除してしまうことも容易に起こってしまいます。

この繰り返しが起こると、いつまでたっても元の状態に戻ってしまうことでしょう。

実際に非常時のBCP対策で、急遽別の事業所で分散体制を築いた経験がありますが、設備や人を用意したぐらいでは、簡単に補完する機能がスムースに動くようにはなりませんでした。

そもそも、一連の業務が分散してできるプロセスが整備できていないと、いろいろなところで目詰まりを起こしてしまいます。

わかりやすい例は、プロセスの中に紙で保存していることが混在していると、別の場所では物理的に紙にたどり着けない状態になってしまいます。
この例はテレワークでも同じような状態になるでしょう。

3.恒常的なBCP対策事例

この時に時間をかけて整備したのが、平常時から分散をしておく方法です。平常時から分散しておけば、非常時には片方の機能を強化するだけでできるようになります。

実際に運用をしてみますと、平常時にもメリットがいろいろとあることがわかってきました。

例えば、一方に負荷が増えた場合、もう一方にヘルプを行い、負荷分散を図ることができます。実はこの作業は、非常時の訓練をしているのと同じ内容になりますので、双方で柔軟にヘルプがかかると、非常時にいつでも機能できる状況ができます。

またビルの場合、法定点検で毎年休業しなければならないことが起きます。しかしどうしても法廷点検時も業務を維持するような場合には、非常用の発電機をビル内に持ち込んで、事業を維持する場合もあります。
しかし、このような場合も別部署へのヘルプをすることで容易に対応ができるようになります。

一方、機能を分散するとコストの面で分割損が発生すると良く言われます。
近くの場所で分割をすれば、確かにコストが増える部分もありますが、都市部と地方ではいろいろなコストが異なります。

都市部に比べ地方は家賃や人件費も抑制できますので、全体のコストで比較すれば、むしろメリットのほうが大きくなるのではないでしょうか。

4.テレワークの事前の準備

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テレワークの事前準備も、いつでも使える状態にしておくよりは、前述の例と同じように、平常時から使うようにしておくことが重要です。

また平常時から利用してもコストやメリットを大きく感じられるところまで活用をしていないと、平常時が長く続いたときに、なにかのきっかけでまたもとに戻ってしまうリスクもありますので、この点にも留意をしてください。

自然災害も今ではどこで起きるかわかりませんし、少しずつ増えているようにも感じます。
今後感染症のような災害も10年以内にはまた起こる可能性がありますから、平常時から柔軟なテレワークができている状態を維持し続けることが重要になってきます。

また単にテレワークを導入しても、いろいろなところで目詰まりを起こしてしまいますので、これから時間をかけて目詰まりを一つずつ解消していく取組みをしていけば、非常時にも強い仕組みができて、平常時の業務の効率化にもつながるのではないでしょうか。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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