IT成長企業は、ベンダーロックインも柔軟に対応し、IT停滞企業は、ベンダーロックインで、固定化する

企業の情報システムにおいて、ベンダーロックインという言葉をよく聞くことがありますが、どのようなことが問題になっているのでしょうか。
今回は、ITベンダーマネジメントの観点からベンダーロックインの内容と、メリット、デメリット、ベンダーとの関係について解説をします。

1. ベンダーロックインとは

ベンダーロックインとは、企業の中核となる情報システムに特定の開発会社、特定の企業の製品、サービスなどが長期的に組み込まれることで、他社への切替が容易に実施できない状況に陥ることとされています。

利用者側の視点では、自社の情報システムであるにも関わらず、他社への切替が容易にできない状態になるとは避けるのが望ましいと思われます。
しかし、どうしてこのような状況になってしまうのでしょうか。

ちなみに情報システムを提供するベンダー側としては、競合他社との優位性を保つことは、営業戦略として重要な点になります。
たとえば既存顧客の場合には、他社よりお客様の課題を熟知しているとか、社内の業務フローをよく把握しているとか、お客様の課題をよく知っているなど、他社よりお客様との接点が長期的に継続していることから、優位な立場や関係性を築くことができます。

この点は開発を依頼する企業、提供するベンダー双方にとって良いことですし、自然なことですので、この点が問題とは思えませんし、むしろメリットになります。

そうではなく、仮にベンダー側の都合の良いように、優位な立場を利用するようなことがあれば、これは問題となりそうです。

たとえば納入時の価格を他社より安く見積もっておいて、受注してシステムを提供した後に、通常より割高な保守料運用料を請求をしたり、提供後のシステム改修費用を割高に請求したりすることがあると、これらは競争環境がなくなったのちに値上げをする行為です。このような行為により、開発依頼者側のライフサイクルコスト全体が高額なシステムとなってしまうことは大きな問題になります

2 ベンダーロックインのメリット

ベンダーロックインは良くないと言われていますが、中小企業において特定のベンダーと取引をするメリットはないのでしょうか。

中小企業の経営者の方からは、専任のIT技術者をおくのも容易ではなく、IT技術の習熟度を上げるための育成もむつかしい、などという相談をよくお聞きします。

このような状況の中では、なじみのITベンダーは大変頼りになる存在です。
欲しいITまたはこんなことができないかという要望を満たすIT機器やシステムを提案する身近なITベンダーは重宝する存在です。

以下は、中小企業のIT人材やITスキルの点からメリットと考えられる項目を記載しました。

・社内にITに詳しい人材がいなくてもサポートを受けられる。
・課題を解決するために、必要なIT機器やシステムの提案が得られる。
・身近にITの相談ができる。
・教育や運用のサポートも得られるため、社内の負荷を軽減できる。
・将来の機器更新計画も相談できる。

など、多くのメリットがありますので、中小企業の場合には、特定のベンダーと深くお付き合いをすることはデメリットばかりでもなさそうです。

3. ベンダーロックインのデメリット

それでは中小企業にとってベンダーロックインのデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
特定のベンダーと良い関係が継続していれば、大きな問題にはならないかもしれませんが。以下の点を懸念点としてみることもできます。

・ベンダーの一方的な提案となり、要望に対して融通がきかない。
・本当に当社の要望がどの程度満たされた機器かシステムであるかよくわからない。
・他社と比較するとコストが高いかもしれないし、オーバースペックの可能性もあるがよくわからない。
・システムを導入したけれども、手作業部分が多く残っているので、効果が低いように感じる。
・運用コストが徐々に高くなっているが、他に方法を思いつかない。

など、一例をあげましたが、自治体や大手企業の場合には、もっと深刻なデメリットがいろいろとあげられていますね。

4. 理想のベンダー関係

中小企業において、ベンダーロックインのメリットとデメリットをあげてみましたが、これらはベンダーの対応しだいで大きく状況がかわることを意味しているのではないでしょうか。

つまり理想のベンダー関係を構築するには、ひとえに良いベンダーを見つけて、長期的に良好な関係を継続し、双方がWIN-WINになる信頼関係を醸成していくことになるのではないでしょうか。

良心的なベンダーであれば、親身に相談に乗ってもらえることでしょうし、割高な商品を提案されることもないと思われます。

5.外部IT人材の活用方法

取引をしているベンダーが得意とする分野では、この問題はほとんど発生しないと思われます。

難しいのは、自社で扱っていない商品や、あまりマッチしていない商品しか提供できない場合に、身近なベンダーがどんな対応をしてくるかです。
このような場合の理想的なベンダーの対応としては、自社からの提供は辞退して、他社の製品やサービスを紹介をしてもらえることです。
このような対応をするベンダーは、本当に信頼ができますので、良好な関係の長期的な継続が望まれます。

しかし不安な対応をされますと、ベンダーロックインで述べました不安要素がいろいろと出てくることも考えられます。
では、このような不安を解消するには、経営者の方はどのようにすれば良いのでしょうか。

もし日頃からITに詳しく信頼のおける身近な友人や知り合いがいれば、その方に相談すれば対応されていることが妥当かどうか、的確なアドバイスを受けることができると思われます。

他のベンダーの方へ相談する場合は、ベンダーの立場やメーカーの偏った意見になることもありますので、あまり客観的なアドバイスを得られない恐れがあります。
相談内容を精査して、相談ができる内容かどうかの判断が重要になります。

ITに詳しいコンサルタントで、気軽に相談できる人がいれば、その方からアドバイスを受けることもできます。

もしお付き合いをされているベンダーの提案で不安を感じるようなことがあれば、是非セカンドオピニオンとして信頼できる第三者からアドバイスを受けて、適宜不安を解消されるのが良いでしょう。

他のコラムでもITベンダーのマネジメントについていろいろとご紹介をしていますので、ぜひご覧ください。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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