中小企業の視点と大企業の視点

私は、本当に小さな中小企業の役員と、大企業の通信事業者の上級管理職の両方を経験しましたので、中小企業の経営視点と大企業の経営視点の両方の特徴が、いまでは実に良くわかります。

小さな組織と大きな組織の仕事の違い

たまたま大手の通信事業者に採用はされたものの、いままでの小さな組織の仕事のやり方が通用しないため、大きな組織の仕事の進め方への考え方の転換にとても苦労をしました。

規模を拡大していくには、大きな組織の仕事の仕方が重要ですが、あとで振り返ってみますと大きな組織にも小さな組織の経験がものすごく役にたちました。

理想は、両方の良いところを取り入れることです。

組織の規模の違い

同じように小さな組織ではすべて目が届いていたものが、大きな組織になると、細かいところに目を届かせる時間がまったく足りません。そのため大きな組織で使えるITマネジメントスキルを身に着けて、ようやくしっかりとしたマネジメントができるようになり、安定した組織運営が続くようになりました。

その後、トラブル対応やリスク回避など実践のなかで、ITマネジメントスキルを実践してきました。

現在もITマネジメントスキルの研究に取り組んでいます。

具体的な経験例

問題プロジェクトの立て直し

ある新規の事業が計画され充分な準備を経て、新事業が開始されました。顧客は代理店を通じて受注がすすみ、速やかに工事、設定を行いご利用頂くことになっていました。

しかし多くのお客様に対し、途中で作業が止まったり、全く進まなくなる例が多発し原因もわからない状況が続きました。私は当時別の部署の責任者をしていましたが、代表から立て直しの要請を受け、急遽その事業の責任者として立て直しを行うこととなりました。

関係する会社や部署それぞれに現場へ出向き原因を探りました。要因が複数の部署や会社が関係しているため、問題の相間がわからず原因の特定に多くの時間を要しました。ようやく原因が特定でき対策も立案しましたが、すでに営業から工事までの一連の流れができており、多くの部署や関係会社を巻き込んで、いままでのプロセスを抜本的に変えることには不安もあり、さまざまな抵抗がありました。

最初に成果が出始まるまでは、半ば強制的に進めるほど推進が大変だった面もありますが、少し成果が出始めると協力者が徐々に増えてきました。最終的には2年くらいをかけて組織、業務プロセス、管理指標などを整備し、管理システムも刷新しました。

ようやく立て直しが完了し、業務がスムースに流れるようになった段階で、関係した企業や社内の部署を集めて、いままでの協力に感謝を示す「お疲れさま会」を開催しましたが、その時に参加された皆さんからの意見は次のようなものでした。

振り返り

  • 混乱しているときには、何がなんだかわからない状態で先が全く見えなかった。
  • 営業、技術、事務、工事のみんなが必死になって良くしようと頑張っていたのに成果がでなかった。
  • 最初に対策案を聞いたときは、とてもできるとは思わなかった。
  • 対策を実施して成果が出るまでに、多くの時間がかかるのでその時が精神的に辛かった。
  • 抜本的な対策は、大きな石を動かすようなもの。最初に動かすのはみんなの協力が無いと無理でした。でも動き出すと少ない力で楽に動くから不思議です。
  • 全体を見て対策を打つ重要性がわかりました。
  • いま順調に流れている状態からは、なぜあんなことが起こったのかがわからない。
  • 拡大する事業は、事業全体がそれに耐えられる仕組みづくりと、支えるITが重要

得られた教訓

組織が拡大するときには様々な壁に当たりながら、それを乗り越えてゆくことで事業も大きく成長していくことができます。

しかし仕組みが充分でないまま体制を強化したりすると、組織が疲弊を始めます。そのまま継続すると生産性や業務効率が下がってきたり、品質が落ちてきたりします。

結果としてクレームが多発したり、対応業務が増加し、社内のモチベーションが下がり、コミュニケーションも悪くなってきます。

このような悪循環を解消するためには、事業の仕組みの再構築と適切なITによる効率化の組合せが効果的です。

中小企業へのITマネジマントの活用

上記の例は経験の一例ですが、このような経験を様々な場面で蓄積してきました。また同時に、企業が成長していくための仕組みづくりと適切なIT活用を長期間研究してきました。

そして、企業の成長に合わせた、経営と技術の両軸をIT成長経営の基盤とするための方法を、N-Proメソッドとして体系化しました。

私が経験したようなことは、多くの企業においても発生することが想定されます。

特に中小企業が成長していく過程では、さまざまな壁を越えていくことを迫られますが、このメソッドを上手に活用して、少しでもお役に立てることを心より願っています。

二宮技術士事務所
代表 二宮 和彦