ITプロセスマネジメントの必要性経営者と経営幹部は、日頃から自社の業務プロセスの把握を意識していますか?ITと業務プロセスが生産性などに与える影響とは?

ITの導入を推進していくうえで、現状の業務プロセスへの影響は必ずと言ってよいほど発生してきます。
日頃から業務プロセスの整備を推進し、改善を重ねている企業であれば、業務プロセスのマネジメントを経営者も行っていますが、そもそも業務プロセスそのものあまり意識したことがないという経営者も多いのではないでしょうか。

目次
1.ITプロセスマネジメントの必要性
2.ITプロセスが可視化されていない
3.現状のプロセスが、最善かどうかがわからない
4.ITプロセスをどのように整理してよいか分からない
5.イレギュラー処理が多い
6.まとめ

1.ITプロセスマネジメントの必要性

とりあえず業務はうまく回っているから問題はないと考える経営者もいるかもしれませんが、業務プロセスの把握は生産性向上や業務の効率化では必須になります。

重要なITの場合には全社の業務に関わることが多いため、当然業務プロセスのITシステムへの反映や調整が発生します。
重要なITで成果を出すためには、経営者がITプロセスの見直しに関わることになり、ITプロセスをマネジメントする必要がでてきます。

今回は、ITプロセスのマネジメントがどうして必要なのかという点について、以下の項目に焦点をあてて解説をします。

ITプロセスマネジメントの必要性

・ITプロセスが可視化されていない。
・現状のプロセスが、最善かどうかがわからない
・ITプロセスをどのように整理してよいか分からない。
・イレギュラー処理が多い。

2.ITプロセスが可視化されていない

ITの対象となる業務プロセスが、可視化をしていない企業も多くあります。またもしあったとしても、部門間の大きなブロックの粗い業務プロセス程度しか可視化されていない企業もあります。いずれの場合も、システムに業務プロセスを反映するには不十分になります。
実際にある企業では、業務のルール化が充分できていなくて、標準業務から外れた業務は、都度担当者が個々の判断で、処理方法を決めてしのいでいたりすることもあります。
仕事が順調に流れて後から戻る必要がない業務の場合で、かつ手作業だからこそできることですが、個人でバラバラの処理をしているようでは、ITのシステムに乗せることは到底できません。

ところでITの経営的な責任者にCIOという役割があります。
CIOは企業のなかでITの推進役の責任者になりますが、このCIOの重要な役割のひとつに、ITガバナンスという役割があります。ガバナンスは、統治・支配・管理の意味で使われます
ITガバナンスというと、なんだか統制という意味でとっても固い言葉ですが、要はITを利用するときに従業員のみなさんが同じルールに従って処理をすることを徹底していくことになります。
セキュリティがわかりやすい例になりますが、業務フローの処理手順などもルールに従うという点で同様になります。

こう聞けばごくごく当たり前の話なのですが、現実には部門内で勝手なルールを作って他の部署の影響を考えないで進めてしまうこともよくあります。
これは部分最適の典型例ですが、社内の風通しが悪いと自分の部署が良ければ良いという考え方ができてしまう風潮も生まれてきます。
一方のITガバナンスは、全体最適を前提に、ITを通じて全員がルールを徹底していきましょうという考え方です。

前述の社内に埋もれているような課題も、ITプロセスを詳細に可視化することで、現状の業務のルール化の状況も可視化することで、実態の把握ができるようになってきます。

3.現状のプロセスが、最善かどうかがわからない

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現状プロセスが、そもそもどうなっているかを詳細に把握できていない状態であれば、最初に詳細の把握を始めるところから進めます。

先ほど前述しましたように、詳細な業務プロセスが把握でき、全体を俯瞰(ふかん)できるようになると、部門間や全体の流れから、徐々に全体の課題が見つかってくるでしょう。

ルールについても可視化することで、部門内の独自ルールや都合の良い解釈などもわかってきますので、業務プロセスの実態がわかってきます。

4.ITプロセスをどのように整理してよいか分からない

現状の業務プロセスの課題整理は、現状プロセスを可視化する方法を複数検討することで、多角的な視点から課題のあぶり出しができます。
ものの見方をいろいろと変えてみることで、プロセスの改善案が生まれてきます。

ただし、ITプロセスの整理については、容易にシステムが対応できる部分と、運用で逃がさなければ対応ができない部分と、まったくシステムで対応ができないためにプロセスを変えなければならない部分など、事細かく整理をする部分があります。

検討しているシステムで全く対応ができないところがでてきた場合には、検討しているシステムをやめて、新たに最初から開発をするシステムを検討するところまで、さかのぼらないと業務プロセスの整理の判断がつかないようなことも起こりえます。

まずは現状プロセスの詳細確認から始めてはいかがでしょうか。

5.イレギュラー処理が多い

イレギュラー処理が多い企業の場合、ルール化が充分進んでいない可能性があります。イレギュラーが発生した場合も、イレギュラーの内容に応じて処理手順が決められていれば、その処手順に従って処理をすることができます。

しかし、現実には、通常処理に比べてイレギュラー発生頻度が少なく、状況を都度判断しますから、これらをいちいち手順を定めてルール化するのは、とても面倒な作業です。
よくあるのが優秀な従業員が都度判断して処理している場合には、表に出てこないことがあります。
そのためイレギュラー処理は放置されがちですが、大企業と中小企業のルール化でこの点が大きく異なると感じています。大企業の場合、イレギュラー処理が発生しないよう時間をかけて徹底して業務フローを整備していきます。

結果として処理が増加をしてきたときに、この取り組みの差が生産性向上の差につながっているのではないでしょうか。

6.まとめ

ITプロセスのマネジメントは社内の企業風土や組織体制に影響を受けます。

経営者が特に意識しなくても新たなITのプロセスに容易に移行できる風土の企業もあれば、社内の一部から業務プロセスの改革に反対を受け経営者が率先してプロセス改革を進めていくような風土の企業などさまざまです。

そのため自社の風土や環境を意識して、自社に合ったITプロセスのマネジメントを進めていくことをお勧めします。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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