IT成長企業は、企業文化を現場改善で活性化させ、 IT停滞企業は、企業文化を現場改善で硬直化させる

現場改善活動を進めている中小企業の経営者の方は多いと思いますが、実施はしているものの、なかなか実践が浸透しないとか、思うように定着しないという話をよく伺います。
ITプロセスマネジメントの視点で、この点を考えてみましょう。

目次
1.現場改善のメリット
2.現場改善推進の課題
3.現場改善の推進方法
4.現場改善の経営的効果

現場改善のメリット

現場改善活動は一般的に、社内の全員で小さな改善に取り組み、改善を繰り返すことで、仕事の流れが良くなったり、ムダな作業がなくなったり、ムリな仕事を改善することで、会社の労働環境が良くなり、働きやすい職場となると言われています。

このような状態は、会社にとっても、働く従業員にとっても、双方に良いことです。まさにWin-Winの関係で、コンフリクトマネジメントの最も良い解決方法になるはずが、どうして順調に進まなくなってしまうようなことが起きるのでしょうか。

現場改善推進の課題

仕事を進めるために、上司から部下へは業務命令という形をとります。命令という言葉が強い言葉のため、一般的には指示という言葉の方がなじみがありますが、お願いという意味ではないはずです。

では、現場改善を指示して進めることは、望ましい形となるのでしょうか。現場改善は自主的な活動が望ましいのですが、上からの指示のみで改善活動を行うと、個人の自主性は発揮されにくくなります。

この状態が継続していきますと、だんだん「やらされ感」が生じ自主性がなくなってきますので、このような状態は双方にとって望ましい状態ではありません。

では次に、自主性を尊重して、現場担当者にすべて任せた場合はどうなるのでしょうか。たまたま、現場改善に興味を持ち、積極的に進める担当者が、現れればその人を中心に改善活動が進むこともありますが、実際にはなかなかそうはなりません。

また、もし前向きな担当者が現れたとしても、全員が推進に賛成することも少ないので、改善活動を推進するために、多くの労力が必要となり、徐々にモチベーションが低下してしまうこともあります。このような状態も双方にとって望ましい形ではありません。

このように見てきますと、どちらの場合も長期的に継続することが、相当難しいことがよくわかります。

現場改善の推進方法

現場改善の自主性を保ちつつ、適度な業務指示でバランスよく進めるためには、経営者が、業務改善に対しては、通常の仕事よりも自主性を尊重し、自主性をサポートすることが望まれます。

実際には、指示を出す方が簡単なのですが、その方法では社員の自主性が損なわれて、なかなか成長してくれません。自主的な活動として放置すれば、動かない状態に陥りやすくなり改善がすすまなくなります。

そこでサポートのひとつの方法をご紹介します。
その方法は、実際に改善活動をしている人の活動内容をよく見て、皆さんの前で褒めてあげることです。成果を上げる前でも、活動自体を褒めることはできます。たった一文字の違いですが、「頑張ってね」と「頑張ってるね」では、受け取る人のイメージはまったく変わります。

人はだれかから認めてもらうことに、うれしさを感じます。特に経営トップから、小さなことでも褒められることは、お金よりも大変名誉と感じることでしょう。

改善が進まないことを厳しく指摘するよりも、頑張っている人を褒めてあげる方が、改善を進めていない人の刺激にもなりますので、一度試されてみてはいかがでしょうか。

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現場改善の経営的効果

実は、現場改善を進めることは、経営にとって大変重要な効果をもたらすことになります。中小企業が成長していく過程では、さまざまな壁を乗り越えていく必要がありますが、その壁の一つが仕組み化です。

組織の中の仕組みを、組織の成長に耐えられるよう強靭にしておかないと、組織が大きくなってきた場合に徐々に耐えられなくなります。結果として、組織を大きくすると問題が発生し一定の規模から抜け出せないことになります。

もし、仕組みがまだ充分でなく、属人的な仕事が多くある場合は、改善活動を支援することで以下の効果が期待できます。

業務の可視化推進

PDCAのサイクルを社内で確立でき、通常業務のプロセスが可視化されブラッシュアップされる。

属人的業務の減少

標準化をするためには判断基準が必要となり、属人的な勘や経験の判断から客観的な判断が進む。

仕組み構築の推進とルール順守

標準化を実施すると、ルールが策定され、皆が自主的にルールを守ろうとする文化が生まれる。

中小企業において、改善活動が進むことは、企業の成長に必須の仕組化、標準化、ルール化の基礎が築かれ、少しずつ企業文化が形成され、企業の大変重要な基盤作りに役立ちます。

このように考えてみますと、経営トップの方が改善活動をサポートする価値は、もっともっと強く感じられるのではないでしょうか。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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