IT成長企業は、
長期的な成長をITが安定的に支援し、
IT停滞企業は、
長期的な成長を人員の増加で対応する。

もし今の売上が10倍にできるとしたら、中小企業の経営者の皆様はどのような対処をされますか。

このような問いを投げかけられたら経営者の皆様はどう思われるでしょうか?

おそらく、実際にはありえない内容なので検討する気にもなれないとか、現実離れしていることなのでよくわからない、という回答を返される方も多いと思います。

目次
1.売上10倍とは
2.売上10倍を推移で確認
3.毎年30%の成長の継続
4.成長を支える具体的活動
5.長期的な課題の重要性

1.売上10倍とは

それでは、いまお聞きしたことを別の視点での聞き方に変えてお尋ねします。

毎年、売上が前年比130%の実績を続けていくとしたら、どのような対処をされますか?

このような目標は業績が好調であれば、充分可能と思われる数字になるのではないでしょうか。
また毎年売上が伸びて、企業が成長をしていくことは、重要な経営課題のひとつでしょう。それでは、毎年30%の成長を続けていくと設定した場合、売上の数値はどのように推移していくのでしょうか。

2.売上10倍を推移で確認

例として、最初の年の売上を100とします。毎年30%の成長をしますので、翌年は130になります。
次の年は130をベースに30%成長しますので169になります。
この成長を続けた場合、実は9年後の10年目の売上は、初年度の10倍を超えていきます。

つまり、毎年130%の実績を9年間継続すると、本当に売上は10倍になるということです。
最初の問いかけで、売上が10倍になったらとお聞きしましたが、この数値ではいかがでしょうか。
継続することは大変ですが、年間30%の成長はありえない目標ではないと、感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

3.毎年30%の成長の継続

毎年30%の成長を続けた場合の、具体的な売上の推移は、下の表をご覧ください。

売上成長の推移

4.成長を支える具体的活動

では次に、目標の数値に対処していくためには、どのような具体的活動になるのかを年ごとに考えていきます。

2年目は130になりますので、今の100の体制で頑張れば何とかなりそうです。
3年目も169なので、今の体制でも頑張ればなんとかなるかもしれませんが、徐々にブラックな企業のようになっていきそうで不安なところもあります。

4年以降は、2倍、3倍と明らかに、現状の体制では支えきれそうにない状態になっていきます。

この数字から好調な時期であっても、それを継続していくためには、いずれ現状の体制では破綻してしまいそうなことが予測できます。

しかし、好調な状態になると、全員が忙しくなり、今の仕事をこなすことで精一杯になってきますので、この段階で、体制の整備や、業務プロセスの見直しをすることは、社内に過度な負荷を与えてしまうことになりそうです。

たまたま中小企業の経営者の皆様や幹部の方々と、このテーマでディスカッションをする機会がありました。
いま仮に売上が10倍になったら、比較的短期間に対応が可能な項目と、全く対応ができない項目を、人、技術、組織、資金、設備、業務プロセスなどの面から、洗い出しをして頂きました。

そのあとでディスカッションに入りましたが、それぞれの会社の業態や環境や条件が異なりますので、抱える課題はさまざまですが、比較的短時間で対応が可能な項目と、明らかに十分な時間をかけて準備をしないと対応が困難な項目に分かれることになりました。

5.長期的な課題の重要性

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現状からありえないような売上が10倍になるとしたらという、普段では検討が必要でないような内容だからこそ、現状とのギャップが大きくなるために、将来の長期的で時間を要する重要課題の洗い出しが明確に認識できるようになります。

あらかじめ時間がかかりそうな大きな課題を洗い出し、充分な時間と準備をして事前に課題を克服しておくことで、好調な業績を止めずにスムースに成長していくことができるようになるのではないでしょうか。

是非一度、売上が10倍になったとしたらという仮説を立てて、長期的な課題をじっくり検討をされてみてはいかがでしょうか。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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