プロジェクトは規模の大小にかかわらず、プロジェクトの特徴を持っているために、プロジェクトマネジメントを活用して進めるほうが、順調に進めることができます。
ところが小規模のプロジェクトに大規模なプロジェクトマネジメントの方法を適用すると、管理やマネジメントに工数に負荷がかかり、効率が下がってしまうことがあります。
目次
1.ITプロジェクトマネジメントの課題
2.ITプロジェクトの教材が難解で資料が膨大
3.ITプロジェクトの実践は教科書通りにいかない
4.ITプロジェクトの中心が上流工程にシフトしてきている
5.まとめ
1.ITプロジェクトマネジメントの課題
プロジェクトの規模に応じてプロジェクトの体制や管理を調整することをテーラリングと呼んでいます。
大規模なプロジェクトの経験が豊富なマネージャーであれば、小規模なプロジェクトを担当した時に、どの部分を簡素化するかとか、この部分は小規模でも残した方が良いということはわかります。
しかし経験が少ないプロジェクトマネージャーでは、このテーラリングが思ったより難しいのです。
他にも、以下の点がプロジェクトマネジメントの課題ですので、それぞれについて説明をしていきます。
・ITプロジェクトの教材が難解で資料が膨大
・ITプロジェクトの実践は教科書通りにいかない
・ITプロジェクトの中心が上流工程にシフトしてきている
2.ITプロジェクトの教材が難解で資料が膨大
プロジェクトマネジメントはデファクトスタンダードのPMBOK(ピンボック)が代表的ですが、資料は体系化され定期的に更新もされています。
日本国内においてもプロジェクトマネジメントが体系化されていますので、プロジェクトマネジメントの教材はいろいろなところで入手をすることができます。
ところがプロジェクトは大規模のものもあれば小規模のものもあります。プロジェクトの規模に関わらずに適応が可能な方法を体系化すると、どうしても内容が膨大になり、複雑になるため、難解になってしまいます。
3.ITプロジェクトの実践は教科書通りにいかない
プロジェクト自体の特性として、想定外のことが起こる前提で仕組みを作っています
。そのため事前に考えられる想定外の出来事を洗い出して対策を検討しますが、想定外の出来事を洗い出すためには、過去の似たようなプロジェクトの経験や、他の事例などをもとに洗い出すことが多いため、経験豊富な人の方が想定外の対応は有利になります。
事前に想定外の準備をしていても、さらに想定外の出来事が起こるのがプロジェクトの特徴です。
この場合は、事象に応じて臨機応変に対応策を検討して実施をしていくことになりますが、プロジェクトマネジメントのテキストには、具体的な対策は書かれていません。
そのため初めてプロジェクトのリーダーとなる人は、プロジェクトの経験が不足していることから、類似事例で疑似的な経験をしたり、経験豊富な専門家から具体的なアドバイスを得たりすることで、的確な対応を行うとともに実践経験を増やしていきます。
通常業務はマニュアルがあれば、業務をしっかり回すことができますが、プロジェクトの場合にはマニュアルやテキストだけでは、充分な対応ができないことがでてきます。
経験豊富なプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーが育つまでは、彼らを支える専門家がいるかどうかが課題になります。
4.ITプロジェクトの中心が上流工程にシフトしてきている
IT導入に際しては、ITベンダーからITプロジェクトを合同で組むことが多いため、発注側がプロジェクトに不慣れでも、ITベンダーの力を借りながらITプロジェクトを進めることがでました。
しかし、最近のITシステムはクラウド型のシステムやパッケージソフトも充実をしてきているため、ITベンダーと密接にやり取りをする開発部分が減る傾向にあります。
そのため、ITベンダーを選択する前のIT検討段階の重要性が増しています。
ところがこの部分はITベンダーの協力が得にくい段階です。
もしITベンダーにこの部分の協力を依頼する場合は、別契約となるのが一般的です。
さらにこの契約は準委任契約といって、ITベンダーは成果物の責任を負わない契約になります。
ベンダーとの関係から主体性は企業側がリーダーシップを発揮することが望ましいのですが、そもそもプロジェクトの専門家が社内にいないためにITベンダーに依頼することを考えると、じつに悩ましいことになってしまいます。
今後は上流工程のプロジェクトマネジメントが課題となってくる場面が増えてくでしょう。
5.まとめ
規模の大小にかかわらずプロジェクト型の業務は今後増えてくることと、
システムの上流工程と呼ばれる不可実性の高いプロジェクトに移行してくること、
今後DXのようなもっと不可実性の高い業務が入ってくること
などを考えた場合、
どの企業においてもプロジェクトマネジメントの活用に必須になってくるのではないでしょうか。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。
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