重要なITまたは開発リスクを含むITを導入する場合には、ITプロジェクトの確実な遂行が重要になります。
ITプロジェクトをITベンダー任せにしたり、IT担当に丸投げにしたりすると、ITプロジェクトの成功の可能性が低くなってしまうことでしょう。
目次
1.ITプロジェクトマネジメントのメリット
2.IT導入のリスク回避
3.重要なIT投資の効果を最大限に引き出すため
4.自立的な活動をする人材の養成
5.まとめ
1.ITプロジェクトマネジメントのメリット
ITに詳しいことと、プロジェクトに詳しいこととはまったく異なります。ITに詳しい人でもITプロジェクトを進めるためには、プロジェクトマネジメントができないと、プロジェクトが失敗する可能性が高くなります。
そのためITの導入は規模の大小はあっても、プロジェクトを組まずに進めた場合には、トラブルが多発したり、思うような完成品が納入されなかったりすることもよく起こります。
ITマネジメントは、各プロジェクトを中心に、関係するITベンダー、ITプロセス、IT組織、IT人材、そして各プロジェクトに必要な経営者のITスキルを利用してマネジメントを行います。
つまり、ITマネジメントの中心はITプロジェクトマネジメントになります。
ITプロジェクトマネジメントを中心に他のITマネジメントと連携することで、以下のメリットを得ることができます。
・IT導入のリスク回避
・重要なIT投資の効果を最大限に引き出すため
・自立的な活動をする人材の養成
2.IT導入のリスク回避
プロジェクトについては、プロジェクトのオーナーの仕事、プロジェクトマネージャーの仕事、プロジェクトリーダーの仕事、プロジェクトメンバーの仕事に加えて、発注を受けたITベンダーでは、内部に独自のプロジェクト体制が構築され、それぞれの役割を着実に遂行していくことでプロジェクトは成功に進んでいきます。
ITプロジェクトマネジメントを推進するためには、経営者はプロジェクトオーナーという非常に重要な役割を負っています。またプロジェクト体制が弱い場合には経営者がプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーの部分を担当したり、IT担当の不足している部分をサポートしたりすることで、プロジェクトの導入リスクを回避しプロェクトを成功に導いていきます。
経営者が不足する部分をカバーできない場合には、一時的に専門家の支援を受けながら推進をしていくことが有効ですが、この場合においても経営者が推進役のリーダーであるという意識は重要です。
3.重要なIT投資の効果を最大限に引き出すため
自社にとって重要なIT投資は、投資金額も大きく、投資対効果が得られる期間も長期間にわたる場合が多いため、投資に対するリターンの大きさが重要になります。
しかし、重要なIT投資の効果は、ITの適正な選択、ベンダーの適正な選択、ITプロセスのITシステムへの反映、従業員のITシステムの徹底した利用など、ITプロジェクト全体の確実な遂行ができて、投資に対する効果が上積みされてきます。
IT投資の効果を最大限にしていくためには、経営者がITプロジェクトの遂行のためのIT人材への支援や、ITベンダーとの交渉、社内のITプロセス改革の推進などを通じて、重要なITの効果の最大化を目指すことができます
4.自立的な活動をする人材の養成
プロジェクトと呼ばれる活動には3つの大きな特徴があります。
一つ目は、プロジェクトは独自性があるということです。自社にとって強みである仕組みのシステムへの反映や、業務効率や高品質の確保など、一般に販売されているシステムでは対応できない部分をシステムに反映することで、自社の優位性をさらに高めることができます。
このような新たな機能を作るためには、ITベンダーにとっても経験が少ない開発でしょう。
プロジェクトには、この独自性があるために、システムの開発の難易度が上がります。
二つ目は、プロジェクトは不確実性を含んでいるということです。プロジェクトには必ず不確実性を含んでいると言ってよいでしょう。過去に似た経験をしたプロジェクトがあったとしても、開発する体制や、人、設備などが異なります。過去の経験は非常に役だちますが、不確実性を含んでいるために、計画通りに進むことは少ないと言ってよいでしょう。
つまり途中で計画を修正したり、プロジェクトを途中で建て直したり、することが、当然のように発生します。不確実性はプロジェクトが進んでいくと、徐々に明らかになってきますので、明らかになった時点で影響を見て判断し対応を行うという作業を繰り返します。
三つめは、プロジェクトには期限があるということです。この点が通常業務とは大きく異なります。プロジェクトは1回限りの業務であるために期限を設けます。しかし、前述の独自性や不確実性は期限を遅らせる要因になります。
この期限を遅らせる要因も踏まえたうえで、期限を守るように進めることがプロジェクトのマネジメントの肝になります。
また同じプロジェクトを繰り返し経験することがないために、同じプロジェクトの経験値は蓄積できませんが、プロジェクトという特徴に対する対応を経験値を積むことができます。
プロジェクトの特徴を理解して、適切に対応をしていく経験を重ねることは、自律的な人材の成長につながります。
5.まとめ
名ばかりのプロジェクトではなく、プロジェクトのメンバーにプロジェクトの知識と進め方を理解させたうえでプロジェクトを進めることが、人材の成長をより早く進めることができます。
そのためには、経営者がプロジェクトのオーナーの立場をしっかり理解して、強力に推進することで、プロジェクトマネジメントのメリットを得られることでしょう。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。
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