IT成長企業は、
VUCAの時代には、しなやかに対応し、
IT停滞企業は、
VUCAの時代でも、目先の対応を行う。

数年ほど前から、海外の政治状況や経済活動が激動の時代にはいり「VUCA(ブーカ)」の時代だと言われるようになってきました。
VUCAとは変動性や不確実性などの言葉をつなげた造語ですが、昨年からのコロナ禍での環境変化がまさに「VUCAの時代」を象徴しているのではないでしょうか。

目次
1.VUCAとは
2.現在の社会情勢
3.プロジェクトの特徴
4.まとめ

1.VUCAとは

VUCAは、激動を表すVolatility、不確実性を表すUncertainty、複雑性を表すComplexity、不透明性を表すAmbiguityのそれぞれの頭文字をつなげた造語になります。
それぞれの言葉がどのようなことを表すのかを具体的に確認していきます。

Volatility(変動性)

世の中がこれからどのように変化をしていくのか、変化の質や量が読めないため、予測が不可能な状況を示します。

たとえばITの進展は変化が速く、今後の携帯電話の技術である5Gが主流になってきますが、5Gが主となった時にどのような変化が生まれるか、なかなか予測ができません。

振り返ってみますと今のスマートフォンやSNSの利用状況は3Gの時代に予測できたでしょうか。

Uncertainty(不確実性)

不可実なことが多いため、将来の予測が確定しないことを示します。

海外の情勢は、先が読みにくく不可実性が高まっています。
国内においても地震や天候不順など、いつどこで何が起こるかわからない状況が増えており、不確実性が高まっているといえるでしょう。

Complexity(複雑性)

いろいろな条件や要素が複雑に絡み合っているために、単純な解決方法を導くことが困難な状況にあることを示します。

サプライチェーンは企業間連携の数や規模が増加しグローバル展開も増えているため複雑化しています。

ネットワークのセキュリティ対策においても、攻撃者が毎年巧妙化し複雑になっているため、対処方法がますます困難になっています。

Ambiguity(あいまい性)

変動性、不確実性、複雑性の要素が重なることで、原因と結果の関係を明確に示すことができないことや、なんだかよくわからないというあいまいさを含んだ状況を示します。

企業の中期経営計画も昔は5年計画のスパンで立てる企業も多くありましたが、最近では将来がどちらの方向に進むのかが予測しづらく、予測のブレ幅も大きくなっています。

このためとても5年先は見通せないということで、計画の期間を5年より短い2年や3年の計画に短縮せざるを得ないという企業も増えてきています。

2.現在の社会情勢

前述のVUCAを現在の社会情勢に当てはめてみますと、該当する項目が多くあることがわかります。

・急激な環境変化のVolatility(変動性)、少しずつ明るい兆しが見え始めてはいるもののいまだ将来がはっきり見えないUncertainty(不確実性)、国内だけでなくグローバルリスクが顕在化し複雑なサプライチェーンにみられるComplexity(複雑性)、さまざまな要因が複合して社会全体に広がっているAmbiguity(あいまい性)

などなど、まさにいまの社会情勢はVUCAの時代を表しているといえるでしょう。

いつかはこの状態も落ち着いてくると思いますが、状態は落ち着いてもVUCAの時代の進み方が加速してくる可能性も考えられますので、VUCAへの対応策もいまから検討をしておくことが望ましいでしょう。

3.プロジェクトの特徴

このVUCAへの対処方法としてOODAという考え方があるのですが、あまり一般的ではないために、今回はプロジェクト管理の方法で対処を確認をしてみます。

プロジェクトをマネジメントするときには、以下の代表的な特徴を踏まえたうえで計画を立てていきます。

プロジェクトの代表的な特徴

イメージ画像
変動性への対応

プロジェクトは必ず予定通りにいかない前提で計画

不確実性への対応

プロジェクトは不確実な点をリスクとして対応策を事前に検討

複雑性への対応

一時的に招集された、社内外の多くのチームで掲載される複雑な構成

あいまい性への対応

プロジェクトの詳細は、最初はあいまいでプロジェクトが進んでいくことで段階的に詳細化される。

最近はお客様のゴールは決まっているものの、ゴールに至るまでの要望や要件があいまいなまま進めることが多くなっており、このような対応方法としてアジャイル開発の手法を取り入れている。

このように、プロジェクトの特徴と、VUCAの特徴を比較すると、マッチする部分が多いため、プロジェクトマネジメントの手法は、「VUCAの時代」に適したマネジメント手法といえるでしょう。

4.まとめ

世の中はコロナ禍後もますます「VUCAの時代」に入っていくと想定されますので、普段の業務の中にもプロジェクトマネジメントの考え方を部分的に導入し、いろいろな課題に対してしなやかに対応できるマネジメントの向上を目指されてはいかがでしょうか。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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