IT成長企業は、コアコンピタンスを発掘・成長させ、IT停滞企業は、コアコンピタンスを埋もれさせる

経営者の方が核となる技術に対する意識が低いときには、中核となる技術や優れた仕組みが見つけられずに、そもそも認識していないという状況に陥ってしまいますので、本当にもったいないことです。
当事務所はITマネジメントのコンサルティングを行っていますが、得意な技術に対しITを活用することで、強みを強化する差別化を目指しています。

1.コア技術とコアコンピタンス

中小企業の経営者の方とのヒアリングで、御社の中核の技術や優れた仕組みはどのようなことがあげられるでしょうかとお聞きした際に、特に中核となる技術はありませんとか、特に優れた仕組みはありませんと答えられることがあります。

確かに、コア技術やコアコンピタンスという言葉が求めるような、競合他社が容易に追随できないような技術や、とても真似ができないような仕組みは、普通ではないかもしれませんが、どの会社においても、得意とする技術や仕組みは内在していることが多いと思います。

得意とする技術や仕組みは、お客様が注文されるときの理由や比較検討の項目の中に隠されている場合も多いので、モニタリングをしていないと見つけにくいのも確かです。

2.仕組みの洗練化

一般でよくある技術であっても、仕組みと組み合わされて洗練化されていれば、十分中核となる技術ですし、通常の技術が組み合わされて新たな価値が生じている場合も同様に中核となります。また熟練の技術も磨かれた技術として中核の技術となります。このように自社の技術をよく考えてみますと、どこかに強い部分を見出せるのではないかと思います。

さらに仕組みも強い部分となることができます。業務を円滑にすすめるために改善活動を取り入れている企業も多いと思いますが、通常業務のプロセスに対し繰り返し改善を重ね、磨かれた仕組みは、徐々に優れた仕組みへと成長していきます。

実は優れた仕組みは、他社がその内容を把握しづらく、容易に真似ができません。そのため、優れた仕組みは高度な技術力と同様に、長期的に競争力を維持できる貴重な強みとなります。

会社が成長していくための重要な要素のひとつとして強みを生かすことが上げられます。そのためには競合他社と比べて、会社の強い部分を探して明らかにすることです。その部分がお客様の注文の選択理由に該当するのであれば、競合他社との差別化を図ることができるようになります。そして、強い部分を日々強くなるような活動をするとともに徹底的に活用することができれば、会社が成長する重要な基盤のひとつとすることができます。

3.中核技術の宣言

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経営者が中核の技術や優れた仕組みを構築していこうという強い意志のもとに、経営を進めていると、徐々に成果が表れてきますが、経営者が意識を持たない状態で経営を進めた場合には、前述しましたような中核となる技術や優れた仕組みはないとの回答になってしまうのではないでしょうか。結果として会社の中の得意な技術や優れた仕組みを発見し、磨いていこうというような成長サイクルは生まれなくなってしまいます。

また、中核の技術や優れた仕組みを認識し、競合他社との差別化を図ることができる状態にある場合、中核の技術を大切にして会社が成長していこうとしていることをその技術を担当している社員に対して経営者としてメッセージを発信すれば、技術者のモチベーション向上につながるといった側面も持っています。
同様に営業プロセスや業務プロセスを重視していることを示すことで、それらを担当している社員のモチベーション向上につなげることもできます。

得意とする技術や仕組みが、まだ社内に十分展開されていない企業は、是非一度社内で洗い出しを行って整理をされ社内に発信するようにされてはいかがでしょうか。企業が成長する重要な基盤を見つける機会にもなりますし、社員全体の目指す方向が明らかになり社員のモチベーション向上につながりますので、是非ご検討下さい。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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