IT成長企業は、
自社の位置から成長ルートを探索し、
IT停滞企業は、
自社の経験から成長ルートを模索する。

中小企業が成長していく過程では、大きくふたつのルートがあります。
自社の現在のポジションを確認し、将来進むべき成長ルートを意識することで、IT投資を戦略的に行うこととができます。

目次
1.IT投資と生産性向上
2.付加価値額の増加が低い企業の特徴
3.付加価値額の増加が高い企業の特徴
4.企業の成長ルート
5.自社のポジションと投資戦略
6.まとめ

1.IT投資と生産性向上

中小企業の経営者の皆様は、生産性の向上にIT投資が重要な要素のひとつであるということに異論を唱える方は少ないと思います

それでは、とにかくIT投資をして最新のITを導入していけば、生産性は向上していくのでしょうか。
おそらくこの考えには賛同できないという方も多いと思います。
つまり、むやみにIT投資をすれば良いというものでもないこととになります。

2018年度の中小企業白書のなかで、生産性の低かった企業が、効率化を図り人員の増加も行って、成長していった企業を調査した結果、成長の過程には2種類のルートが見られるそうです。
今回は簡単にご紹介しますので、ご興味のある方は是非白書をご覧ください。

参考

2018年版「中小企業白書」
第3章:中小企業の労働生産性(PDF形式:1,808KB)PDF(平成30年7月3日更新)
63ページ 2 労働生産性の類型化と特徴
の欄をご参照ください。

2.付加価値額の増加が低い企業の特徴

まず企業の状態を6つに分類します。付加価値額の増加が低い企業は3つに分類されます。

付加価値額の増加が低い企業

①非効率化

付加価値額の増加が低い企業

②縮小

付加価値額の増加が低い企業

③衰退

の3つに分かれます。

3.付加価値額の増加が高い企業の特徴

一方、付加価値額の増加が高い企業は、

付加価値額の増加が高い企業

④効率的成長

付加価値額の増加が高い企業

⑤効率化

付加価値額の増加が高い企業

⑥非効率的成長

の3つに分類されます。

4.企業の成長ルート

最終的には、④効率的成長の分類に入るのが最も望ましい姿ですが、①非効率化、②縮小、③衰退の分類から、いきなり④効率的成長にたどり着けないために、以下の2つのルートを経由して成長をしたというものです。

企業の成長ルート

縮小、衰退の分類にいた企業は、効率化を経て、効率的成長に入るルート

企業の成長ルート

非効率化の分類にいた企業は、非効率的成長を経て、効率的成長に移行するルート

縮小、衰退の企業は人員の増加も低いため、先に効率化を行なっていきますが、その領域で変化のなかった企業と比較して、効率的成長の移行した企業では、設備投資、IT投資、研究開発を多く行っていたことが特徴です。

一方、非効率化の企業は、非効率の部分を人手でカバーしているため、生産性が低いのですが非効率を少しずつ改善し成長していくために、非効率的成長に移行します。そのあとに更なる効率化を図り、効率的成長を実現しているようです。

同様に効率的成長に移行した企業では、設備投資、IT投資、研究開発の投資も行いますが、より重点的に投資が行われたのは、人材開発と業務効率化になり、投資の配分が異なることが特徴です。

5.自社のポジションと投資戦略

これは、自社のポジションがどこにあるかによって、投資戦略を変えることが効果的であることを示唆しています。

いままでのIT投資はコストダウンが主であったと思いますが、人手不足や働き方改革など、これからはIT活用による効率化や生産性の向上の部分にIT投資をフォーカスすることが重要になってきています。

前述の企業の成長の2ルートの移行過程をみても、的確な時期に的確なIT投資、設備投資、業務プロセス改革などを実施することが肝要と思われます。

しかしIT投資には、導入、運用に対していくつかの課題が生じます。

ひとつはITを利用するための知識や操作スキルなどのITリテラシーの問題です。
もしそのITを全員で利用するのであれば、最低限のITリテラシーは必要になります。
今後は高齢者、在宅勤務、外国人労働者など、様々な勤務形態や組織で業務を行うことも考えられますので、その条件下でITリテラシーを検討する必要があります。

2つ目は、導入するITと、企業の目的や目標との整合性の問題です。
ベンダーの提案を受けて、必要だからといって、ITを入れ続けると、徐々に企業の目的や方針からずれてきて、徐々に整合性が崩れてきます。
このような状態が続きますと、結果として効果の低いIT投資が増えてきますので注意が必要です。

6.まとめ

業務の効率化や、生産性の向上を目指して、IT導入を進めてきたのに、あまり成果が出ないと思われる方は、その理由のひとつに、このようなことが起因しているのではないでしょうか。

特に、1社のベンダーのみと長期間お付き合いをしていますと、どうしてもこの傾向が強くなってきます。
そのうちにITの中身がよくわからなくなってきますと、ベンダーロッキング状態になり簡単にベンダー変更の検討もできにくくなりますので、この点も注意が必要です。

他にも、留意する点はいろいろとありますが、これから少しずつご紹介をさせて頂きます。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです

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