IT成長企業は、
ITの骨格となる大事な幹と枝を重視し、
IT停滞企業は、
ITの枝葉末節の部分も一様に重視する。

経営者のIT活用能力という言葉を聞かれたことはありますか。IT活用能力は社員の場合は、実際にITを操作したり、ITを利用して業務を行ったりというITリテラシーという言葉が良く使われます。
それでは、経営者のIT活用能力とはどのようなものでしょうか。

目次
1.経営者のITの活用能力
2.IT活用能力とは
3.ITマネジメント
4.大事な幹と大事な枝

1.経営者のITの活用能力

中小企業庁が発表しています、「中小企業におけるITの利活用」の調査によりますと、「経営者のIT活用能力が不足している」という項目では、高収益企業の21.8%に対し低収益企業では24.5%と2.7ポイントの差があります。

参考資料

中小企業におけるITの利活用 第2章 – 中小企業庁 – 経済産業省

詳しくはこちらからご覧ください。

この点から高収益企業になるための一つの要素として、経営者のIT活用能力が挙げられるということになります。

2.IT活用能力とは

このIT活用能力の具体的な説明は資料の中では記載されていませんが、経営者に必要なIT活用能力とは実際にどのようなものかを掘り下げてみます。

仮にITが得意な経営者であれば、社員が必要とする操作スキルや、IT担当者の技術スキルにも同様のスキルを持つことができるでしょうが、ITが苦手な経営者がIT担当者と同様のスキルを持つことは容易ではありません。

ITの活用能力というと、ITの操作スキルやITの専門知識、技術などを想像しそうですが、実は経営者に必要なITのスキルは、社内で必要なITを選別して、導入を決定し、社内でITを活用させるマネジメント力になるのではないでしょうか。

言い換えると、社内でITを十分に活用ができていれば、経営者としてのIT活用能力は発揮できているといえるのではないでしょうか。

3.ITマネジメント

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それでは経営者がITを選別して、導入を決定し、ITを活用させるスキルとはどのようなものでしょうか。

ITを導入する目的はいろいろとありますが、結果的に企業にとってITが役に立つことです。またITが役に立つからこそ、ITの投資よりも回収が大きくなります。

売上が上がって、作業が増えても人が行うよりもITが貢献をすれば生産性が向上します。
業務の流れが速くなり、作業時間が短縮すればサービスが向上し、お客様満足度が上がります。

つまり経営者がITをマネジメントするうえで重要なことは、適切なITを導入し、不要なITは導入しないことを判断できることになります。

そのためには、ITを適切に評価できることが重要になりますが、ITを評価するためには、ITのひとつひとつの操作方法を覚えたり、実際に利用して確認したりする必要もありません。

4.大事な幹と大事な枝

たとえばソフトウェアを開発する場合には、実際に開発が終わらないとソフトウェアを使うこともできません。

そのため開発を依頼するときには、事前にどのような機能を持たせるかとか、どのような順番で処理させるとか、どのように判断させるかといった、枠組みを決めて開発を依頼することが重要になります。

この枠組みのことを、拙著『技術者のプロマネ「ミッション遂行力」入門』でも述べていますが、ソフトウェアを大きな木に例えると、「大事な幹」「大事な枝」が枠組みになり、これらをしっかり把握することです。

書籍

書籍名:技術者のプロマネ「ミッション遂行力」入門
出版社:日刊工業新聞社
本書は、不確実性要素を含んだ業務を遂行することにフォーカスし、プロジェクトマネジメントの考え方や技法を、具体的なモデルケースで紹介しています。
詳しくはこちらからご覧ください。

この社内の「大事な幹」「大事な枝」が、導入を検討しているITとしっかりマッチしていれば、導入後にITが社内の「大事な幹」や「大事な枝」をサポートすることで、成果は大いに期待できます。

しかしこの点が外れていると、せっかくITを導入しても、社内の業務に大きく貢献しないためITの成果が低くなってしまいます。

ITの評価とは、ITを導入したのちに大きな成果がだせるかどうかですから、この点をよくみることで、成果がでそうか、成果がでなさそうかが、発注前に確認ができるようになります。

今回はITマネジメントの一つの例として、ITを大きな木と見立てて、社内の「大事な幹」「大事な枝」を確認するといった方法で、ITを眺めてみるという方法をご紹介しました。
この点に留意されるだけで、ITの評価はわかりやすくなり、ITの方向性も明確に示すことができるようになります。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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