IT成長企業は、
IT見積りの妥当性を、適切に評価し、
IT停滞企業は、
IT見積りの妥当性を、適当に評価する。

ITベンダーから見積りをとっても、見積もられた金額が妥当かどうかよくわからないという相談があります。
この見積もられた金額が妥当かということには、見積もられた金額が適切な価格でしょうかという意味ですが、よくお聞きするとこの中身は思ったより複雑な場合が多いのです。

目次
1.見積りの中身と複雑な事情
2.ITの見積り自体の妥当性
3.ITの種類による見積り作成の難易度
4.見積りを依頼するときに、要求している内容の精度
5.ITがどこまで要件を網羅しているか
6.相見積による見積りの比較
7.専門家のアドバイス
8.まとめ

1.見積りの中身と複雑な事情

ITの見積りに対しては、ITの見積り自体の妥当性という点と、ITの種類による見積り作成の難易度、見積りを依頼するときに要求している内容の精度、要求している内容を見積りのITがどこまで網羅しているかという点など、いろいろな点でその見積りが妥当かどうかということが変わってきます。

そこで、見積りの妥当性を判断する方法として、以下の観点で確認をしていきます。

見積りの判断方法

・ITの見積り自体の妥当性
・ITの種類による見積り作成の難易度
・見積りを依頼するときに要求している内容の精度
・ITがどこまで網羅しているか
・相見積による見積りの比較
・専門家のアドバイス

2.ITの見積り自体の妥当性

ITの見積価格が妥当であるかどうかは、市場価格や他の同レベルのIT製品の価格と比較することができれば、妥当性の評価はできるでしょう。

市場価格はネットで確認ができるものであれば比較的容易に情報は収集できますが、そうでないものは相見積を取得したり、専門家に相談をしたりして確認する方法もあります。

3.ITの種類による見積り作成の難易度

ITの種類が広範囲であることから、見積り作成の難易度がかわります。

ITにはルーターやサーバーのようなハードウェアと、アプリケーションのようなソフトウェアなど目に見える製品と目に見えない製品、さらにそれらを組み合わせたパッケージ製品など、シンプルな構成から複雑な構成までさまざまなものがあります。

またソフトウェアのなかには、サブスクリプションサービスのような完成品を提供するものから、会計ソフトや業務ソフトのようなパッケージ化されたソフトを提供するもの、ローコードとの呼ばれる簡単な手順でプログラムを作成するツールを活用したソフトウェア開発、まったく新しいソフトウェアを最初から開発するソフトウェア開発など、利用するITによって見積りの難易度は大きく異なります。

完成された機器やソフトウェアであれば、比較的見積りの難易度は低いので妥当性は判断しやすいのですが、開発を伴うソフトウェアでは、見積り書の難易度が高くなるために、見積りの内容だけでは、的確な判断が難しくなります。

4.見積りを依頼するときに、要求している内容の精度

見積りの難易度が高くなる理由のひとつに、発注する企業から開発を依頼するときの要求の内容の完成度があります。

たとえばソフトウェア開発を依頼するときにRFP(提案依頼書)というもの作成して、事前にベンダーに説明を行います。ベンダーは依頼されたRFPをもとに提案の内容や製作に必要な価格を見積もります。

しかし、RFPの内容があいまいであったり、そもそもRFPの内容と本当に作りたいものが違っていたりすることもあります。
また、要求する内容があいまいであると、ベンダー側では、RFPの内容の捉え方が違っていたり、解釈が違ってしまったりすることもあります。

このようなことから、発注する側の要求の内容の完成度によって、見積りの内容が違ってしまっていることがありますので、ご注意ください。

5.ITがどこまで要件を網羅しているか

完成品の機器やソフトウェアの見積りを取った場合に、こちらが必要としている機能をどこまで備えているかによって、導入後の成果が変わってきます。

また必須ではなくとも便利な機能が備わっていることもあります。一方全く必要のない機能や、必要以上に高度な機能が入っている場合には、オーバースペックの機器やソフトウェアの見積りを取っていることになります。

必要な機能が充分に入っていない場合は、導入後にITが充分に働いてくれません。
反対にオーバースペックの機能を備えたITを導入した場合には、価格が高くなってしまいます。

6.相見積による見積りの比較

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ITの見積りを1社ではなく、複数の相見積を取得して比較する場合も多いでしょう。
対象のITが同じであれば、導入のサポートや価格などの比較で判断はできるでしょう。

ところが、見積りのITが異なる場合には、前述のITがどこまで要件を網羅しているかとか、不要な機能やオーバースペックなどの部分も含めて比較検討をすることが重要です。

ソフトウェアの開発の場合は、RFPのような要件を整理した内容を伝えることができなければ、見積りを取得することも難しくなります。

そのためソフトウェアの開発で、自社で要件を整理することが困難な場合は、事前に交渉するシステム開発会社の評価をしっかりし、信頼できるベンダーを選定したのちに、要件の相談を始めることが重要になります。

7.専門家のアドバイス

自社で、ITの見積りが妥当であるかどうかを判断することが難しい場合には、第3者に評価を依頼する方法があります。
見積りが提出された段階で、ITの専門会社に評価を依頼し、評価内容をもとに判断をすることができるようになります。ITの専門会社の評価には業者の選定やITの見積りの妥当性が含まれていますので、評価が良ければ安心して進めることができます。

またより簡易な方法として、知人にITに詳しい人がいれば、その方にアドバイスを受ける方法もあります。

同様にITのコンサルタントが身近にいるときも、コンサルティングの中でアドバイスを得たり、スポットで相談したりする方法も効果的です。

8.まとめ

ITの見積りは、ITの種類やITの内容によって、妥当性の判断も変えていく必要があります。
見積りの判断が難しい場合には、相見積で比較検討をしたり、第3者の専門家の判断を取り入れるなど工夫をして、見積りの妥当性を確認してください。

特に、導入後の影響が大きい、ソフトウェア開発の場合には充分留意しましょう

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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