以前にベンダーロックインのメリットとデメリットについて説明をしましたが、ベンダーロックインの回避方法はないのでしょうか。
大規模なシステムでは具体的な回避方法も示されていますので、仮に中小企業に当てはめた場合を想定して解説をします。
目次
1.ベンダーロックインの回避方法
2.マルチベンダー方式
3.オープンソース環境
4.中小企業のベンダーロックイン解消方法
5.まとめ
1.ベンダーロックインの回避方法
それではベンダーロックインを避けるにはどのようにすればよいのでしょうか。
ベンダーロックインを避けるためには、以下の方法で対応することでベンダーロックインを回避することができるようになります。
システム開発をする際に、複数の会社で開発を行うマルチベンダー形式で開発を実施する。
特定の技術に依存しないために、オープンソースの環境で開発を実施する。
マルチベンダー方式とオープンソース環境についてそれぞれを見ていきます。
2.マルチベンダー方式
マルチベンダーとは、開発するシステムを複数の会社に分散して開発をする仕組みになります。
複数の開発会社を利用するマルチベンダーでは、複数の会社の開発を統制するための専門知識が必要になります。
また複数の開発会社をコントロールするためには、プロジェクトマネジメントが社内で確実に実施できるスキルと体制が必要となります。
そのためマルチベンダーの体制では、開発する企業を連携する部分の責任が曖昧になる場合があります。
実際に開発でよく起こる例としては、それぞれの開発企業の単体でのテストは正常ですが、全体を通しでテストをするとエラーになるようなことが起こると、双方のベンダーは正常ということになり、解決に向けて間に入る発注元の会社の調整は大変な作業となります。
実際にマルチベンダーで開発を行った経験からは、発注者側の管理や工数は大幅に増大して、大変になる場合がありますので、安易に行うのは危険です。
3.オープンソース環境
オープンソースとはソフトウェアがオープンで提供されているものを利用することで特定のベンダーからの依存を避けることができます。
オープンソースの開発環境では、特定のメーカーが提供するソフトウェアと比較してサポートが弱い場合が多いため、社内に習熟した技術者がいることが望ましいでしょう。
しかし中小企業の場合には、開発の専門知識の不足や管理工数の増大の観点から、上記案の採用は困難です。
4.中小企業のベンダーロックイン解消方法
マルチベンダーのような、自社に管理や工数がかかる仕組みは、残念ですが中小企業では向いているとはいえません。
同じように、オープンソースを利用した開発も、自社に専門のIT技術者の体制が困難な中小企業には向いていない開発手法となるでしょう。
またすでに社内に専門のスキルがある技術者がいる場合には、そもそもベンダーロックイン状態にはなっていないでしょうから、対象外になるでしょうね。
このようにベンダーロックインの解消方法と言われていることは、残念ですが中小企業には向いていない方法といえるでしょう。
それでは中小企業がベンダーロックインを解消する方法は、どうすれば良いのでしょうか。
私は、次の取組みをすることで、少しずつベンダーのロックインを解消していくことができると考えています。
ITの特徴を把握し、丸投げをしてもかまわないITと、丸投げしてはいけないITを判別する。
丸投げしてはいけないITは、ベンダーへの丸投げ状態から少しずつ抜け出す活動を経営者主導で始め、自社の仕組みやシステムの状況を蓄積していき、企業文化を地道に変えていく。
5.まとめ
マルチベンダー方式やオープンソース環境は、自社でしっかりしたIT組織がないと困難な状況であるため、自社にしっかりしたIT組織がない状態では対応が困難です。
しかし、重要なITはベンダーに丸投げをすると失敗する可能性が高いITが多いため、まずは重要なITの導入を検討する場合には、ベンダーに丸投げ状態にしない体制や企業文化を先に整える必要があります。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。
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