ITの導入による効果には生産性向上や効率化など、人の手を介している作業を自動化したり、高速化をしたりすることで成果をあげていきます。

ところがIT導入による効果としてはそれだけに留まらず、いろいろなところでデジタル化が進むことになります。
結果として、システムで表作成がされることや、他で管理している項目と時系列で比較がしやすい、グラフ機能を備えているなどの見える化の効果も大きなものがあります。

目次
1.見える化とは
2.IT導入による見える化
3.IoT導入による見える化
4.まとめ

1.見える化とは

たとえば企業のなかでは、数値を集計したりグラフ化したりするために、エクセルが多く使われています。
個人で利用するには、大変便利なツールなのですが、多くの人が同時に使うために共有フォルダで利用したりすると、多くの人が同時に編集するとファイルが壊れてしまうこともあります。
エクセルは、みんなで情報を共有するにはちょっと向いていないため、どうしても個人のパソコンで管理したり、個人のフォルダで管理したりすることが多くなります。
こうなると情報はデジタル化されてはいるものの、他の人や他の組織で情報を共有化することは難しくなってきます。

この点ITシステムを導入すると、個人のパソコンやフォルダから解放され、いつでもどこからでもだれでもITシステムを利用することができるようになります。
エクセルで管理していた情報も共有がしやすくなるため、見える化がしやすくなります。
またITシステムには、一覧表やグラフなどを備えていることが多いため、可視化もしやすいでしょう。

ITシステムを導入することで、自然に可視化による情報の共有化が進むことも、大きな成果のひとつになります。

2.IT導入による見える化

紙ベースで仕事をしていたものが、だんだん個人のパソコンを使うようになり、個人のパソコンで管理が進むようになると、従業員のITリテラシーも少しずつ上がってきます。でもITシステムが入っていない状態では、情報の共有はなかなかむつかしいものがあります。簡単な情報の共有としてはスケジュールや資料フォルダがありますので、グループウェアの導入が最初は入りやすいツールになります。

でも本当に共有したいのは、部門内で作られている業務の資料です。これらは共有されなくても仕事自体はできますので、特に問題がないといえばそうなのですが、業務プロセスの自部署の前工程や後工程がどうなっているかを知る機会はほとんどありません。
また他部署の資料が共有されても興味がなければあまり見ることもないでしょう。

ところがITシステムで他の部署も含めて全体のプロセスや進捗の状況が可視化されると、自部署以外の状況の理解が深まってきます。このことで徐々に全体の理解が深まり、全体最適の意味も容易にとらえられるようになってくるでしょう。

IT導入による可視化にはこのような効果もあるのではないでしょうか。

3.IoT導入による見える化

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IoTの導入目的も最初は可視化から始まることが多いでしょう。すでにITシステムは導入しており、それなりに進捗は把握できるものの、詳細な状況は掴めないことも多くあります。この掴めない範囲のなかに問題が潜んでいるという仮説から、IoTを使って見えるようにしたいと取組みを始める企業も多くあります。

実際にIoTを使って測定を始めると、測定した数値が想定通りということはあまりなく、思っていた以上にばらつきが多いとか、一部の個所に多くの工数がとられているなど、新たな発見が得られることが多いようです。
IoTによる見える化では、新たな発見や気づきから、改善活動が進むことが多く、改善が進んできますと、他のITのデータと時系列で並べてみたり、異常値を追ってみるなど、さらに改善が進んでくるため、見える化と改善もどんどん進化をしてきます。

IoTの成果は、導入後の改善が進み、改善が進化をしてくることに大きな価値があるのではないでしょうか。

4.まとめ

IoTで見える化を検討している企業も多いと思いますが、もしITの見える化でまだできていないところがあれば、先にITの見える化を検討されたほうが良いでしょう。
特に全体に関係するITの見える化ができるのであれば、その後にIoTの見える化につなげていくことで、より大きな成果が期待できるでしょう。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。今回のコラムが皆様の何かのヒントになれば幸いです。

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